猫の尿道閉塞~術~
●これはどんな病気?
猫ちゃんは、もともと尿中に結石・結晶ができやすい体質です。中には尿道(膀胱から外へ出る通り道)で結石が詰まってしまい、尿が出なくなってしまう子がいます。これが尿道閉塞です。特に男の子はペニスの先端が細くなっているため、その場所で詰まりやすいです。尿が出ないと命に危険が及びますので、カテーテルを挿入するなどして閉塞をすぐに解除する必要があります。
●どうやって治療するの?
尿道閉塞が起こった時、カテーテル挿入などによる治療で一時的に良くなったとしても、繰り返し閉塞してしまうこともあります。そのような場合は会陰尿道瘻術を行って、石が詰まらないようにします。会陰尿道瘻術は、結石が詰まりやすいペニスの先端を切除して根元のより広い尿道から排尿できるようにする手術のことです。ペニスの先端はなくなってしまいますが、尿道が少し短くなるだけですので、手術後も特に違和感なく排尿ができます。
当院での実際の実施手技
①ペニスとその他の筋肉を分離しているところ
ペニスを切開し尿道を開いて縫い付けるため
他の筋肉としっかり分離する必要があります。
②広い尿道を外側の皮膚に縫いつけているところ
尿道の広い部分から直接排尿できるようにします。
少しずつ丁寧に縫合していきます。
③縫いつけた尿道が膀胱とつながっているかを確認
カテーテルより尿を吸引することができました。
しっかり膀胱とつながっている証拠です。
④カテーテルをはずした状態
肛門のすぐ下のあたりに尿道開口部があります。
今後、尿はペニスではなくこの開口部から出ます。
⑤手術後、抜糸前のようす
傷の状態もきれいで、排尿もスムーズです。
指でさしている先が尿道開口部です。
⑥抜糸後のようす
排尿も問題なく、手術跡も分からないくらいです。
術後の経過としては良好です。